C.J.PRESS RELEASE

プレスリリース

TOP -> 2014/12/24 ユニコーン
西田シャトナー
作家、演出家、俳優、折り紙作家

新しい演劇作品を世に送り続けている
西田シャトナーのもうひとつの世界。

ユニコーン

(C) 西田シャトナー
[ご応募受付期間] 2014年12月24日(水)00:00〜2015年1月31日(土)23:59
ユニコーンを制作された西田様にお話をお伺いしました。
――折り紙をはじめたきっかけ

幼い頃から普通に折り紙が好きな子供でしたが、8歳の時、ふと折り鶴を見ながら、「これ、本当のツルにあまり似てないなー」と気づいたんです。
それで、首をしなやかにカーブさせたり、羽ではなく長い脚を折り出したり、いろんな工夫を加えて、自分として納得のゆくツルを折りました。
とてもエキサイティングな体験でした。
そこから、創作に夢中になりました。たとえば複雑な形をした昆虫など、作りたい折り紙作品は大抵、市販の本に載っていないのです。
でも、自分で創作するなら、努力とひらめき次第で、どんな作品も手に入ります。
それからずっと、私は自分の作品ばかりを折っています。

――折り紙の魅力


私は、生物を折ることが好きで、作品のほとんどが生物をモチーフにしています。折り紙の工程は、生物の発生にとても似ているのです。
生物は、たったひとつの細胞が分裂してふたつになり、8つになり、どんどん多様な複雑な体になってゆきます。
折り紙は、1枚の紙にひとつまたひとつと折り目を入れて、それが様々な生き物になってゆきます。
折ることは、生き物が発生してゆくことの追体験なのです。

「ユニコーン」もそうなのですが、私はよく、空想生物やSF映画のクリーチャーなどを折ります。
そうした生物を折ることが出来た時、「やっぱりこの生物は、生物として存在できるんだ」と実感して嬉しくなります。
生物が存在することはとても不思議です。宇宙の神秘や物理法則の可能性を感じます。
その不思議と神秘と無限の可能性を、手触りで感じられる。それが、折り紙の魅力ですね。

――舞台演出・俳優・折り紙作家など多岐にわたってご活躍されてますがそれぞれに共通点はございますか?
  もしあれば、その点について教えてください。


「たった一つのものを使って、無限に何かを作り出す」という意味で、演劇も折り紙も、根本の部分で同じです。
役者の肉体から、無限の物語を作るのが演劇。一枚の紙から、あらゆるものを折るのが折り紙。
もっと言えば、ただ一つの振動から、全ての物質が誕生してゆくという、宇宙の本質とも通底しているのです。

――別々の分野でご活躍する事で起きた化学反応などがあれば教えてください。

折り紙で得た「どんなに不可能そうな対象も、とことん粘ればきっと折れる。もしも折れたらとてつもなく嬉しい」という感覚は、演劇作品制作に役に立ちます。
「どんな景色も必ず表現できる」という確信がいつもあるので、困難な演劇作品も諦めずにすみます。
逆に、演劇で得た、文学的な力が、折り紙の秘密を解き明かすこともあります。「自分が主なのではなく、作品が主で、自分はその従者なのだ」とか。
「折り紙は、Origamiであり、それはOriginという言葉につながるなあ…」とか。物語を作っているからこそ思い至ったことです。
おかげで、折り紙をすることに、より強い意義を持てています。

――どのフィールドでも変わらない西田様の信念(意識)があれば教えてください。

折り紙でも演劇でも、そして日常でも、人生を生きれば、時に誰からも支持されず、自分だけが可能性を感じる領域に足を踏み入れることがあります。
そんな時、「孤独は宝物」と思うようにしています。孤独な瞬間はとても大切です。
その向こうにこそ、広大な宇宙へとつながる扉があるように直感しています。

――今後の活動の中での目標や新たに取り組んでみたい事があれば教えてください。

最近また一段、自分の指と紙が仲良くなってきた気がするので、ますますじっくりと取り組んでゆきたいです。
生物がもっともっと躍動する姿を折りたいです。怪獣やSFクリーチャーも、以前以上に生き生きとパワフルな姿になるよう折ってゆきたいですね。
演劇作家としては、とても小さなスペース、例えばテーブルや、トランクの中だけを舞台にした、小さな小さな演劇作品を作ってみたいと、10年前から思っているのです。
きっと実現させます。

――最後に、C.J.MARTの取り組みについてのコメントとC.J.MART限定「ユニコーン」についてのコメント
  西田様の作品に対しますコメントを頂戴できますと幸いです。


C.J.MARTは素晴らしい取り組みですね。現代トイのファンたちの中心にいるメディコム・トイが、
ハンドクラフトの作家たちをこうして取り上げてくださることは素直に嬉しいです。

日ごろSF映画ファンであり、フィギュアなども大好きな私にとっても、憧れのメディコム・トイさんで自分の作品を
扱っていただけることは喜びです。

C.J.MART限定「ユニコーン」は、私がこれまで折ってきたユニコーンに、さらに1年かけて部分的な改良を加えた自信作です。
通常の折り紙では見られない特殊な「折り」から、原則的な技術まで、これまでに私が折ってきた折り紙の全ての要素が
詰まっています。 是非、手に取って見ていただきたいです。

硬い紙を使って、自分の全力を込めて折りましたから、生命力も紙の中にこもっていると思います。
展開図も付けましたので、腕に自信のある方は、自分でも折り方を見つけてみてください。
私の作品は、折り紙の世界で「22.5度系」と呼ばれる手法に基づいています。
作品の随所に、直角を4等分した角度である22.5度が潜んでいるのです。 その元祖が、いわゆる「折り鶴」なのです。

折り鶴を自分なりに折り変えたことから折り紙創作を始めた私ですが、この「ユニコーン」はまさに折り鶴の孫たちのひとつ、
と言えます。
手に取ってみていただければ、折り鶴の伝統手法と、現代の新しい手法が共存していることがお分かりいただけると思います。
私は他にもいろいろな生物を折っています。
是非、私のサイト(https://www.n-shatner.com/)のWEBギャラリーを覗いてみてください。
西田シャトナー(Nishida Shatner)

1965年大阪出身 作家・演出家・俳優・折り紙作家。

独創的演出アイディアで、肉体表現にこだわりぬいた
作品を作り続ける劇演出家として活動する一方、
折り紙作家としても長く活動を続けている。
1990年、大学生時代の友人と結成した劇団
『惑星ピスタチオ』は、娯楽と実験を融合した
演劇スタイルが注目を集め、佐々木蔵之介、
腹筋善之介らを輩出(2000年に解散)。

近年は、2012年にスタートした舞台『弱虫ペダル』
シリーズの成果で「2.5次元ミュージカル」の潮流の
立役者と言われるほか、松山ケンイチの舞台初主演作品『遠い夏のゴッホ』(2013年)、ロボットマイムのみで90分間を演じ切るSF作品『ロボ・ロボ』など、
オリジナル作品も多く発表し続ける。

俳優としても、2014年の一人芝居フェスティバル
「Fight Alobe 4th」で優勝を果たすなど、実力派
として舞台を重ねている。

折り紙の世界では、少年時代から作家として活動を
つづけ、精密かつ躍動感の漲る生物を折りだす作風が
海外でも高く評価されている。
2013年には、福島県の諸橋近代美術館で企画展
などが注目を浴びた。

西田シャトナー公式サイト
https://n-shatner.com